ドライアイ・キズ

今年もまた、空気がカラカラに乾燥する冬がやって来ました。
院長は北陸出身で、冬といえば、曇り・雨・雪ばかりが続くため、関東に出てくるまで、冬の乾燥を実感として知りませんでしたが、
関東の冬は、ドライアイの方々にとっては、厳しい季節です。
コンタクトレンズがゴロゴロしたり、ズレたり、勝手に外れたりするばかりでなく、裸眼でも痛みや充血に悩まれる方もいます。


 

実は、眼の表面は、魚と同じで、「濡れていないと呼吸できない」部位です。
つまり、たかが乾燥では済まず、
乾燥 ⇒ 酸欠 ⇒ 細胞が死んで剥がれ落ちて角膜が傷つく
という流れが、時々起きます。

細かい浅いキズは、皮フの擦り傷と同様、1週間程度で、跡形もなく「完治」しますのでご安心ください。
ただし、細菌感染を起こしたりしてこじらせる場合もあるので、それに気付くことが大切です。

従来から、ドライアイの不快な自覚症状に対して、化粧品にも多く配合されている「ヒアルロン酸」の点眼薬がよく使用されてきました。
さしたその場で効果を感じる即効性、市販のうるおい点眼薬よりも効き目が長い、保険が利くので安価ということで、今でも第一線で活躍している点眼薬です。多くの方がお使いです。

しかし、中には、ヒアルロン酸点眼だけでは物足りないというドライアイ患者さんも、一定数存在します。
ヒアルロン酸点眼は、即効性はありますが、流れ去ってしまえばおしまいというタイプのお薬です。
一方、近年、別のタイプのドライアイ治療薬が登場しました。
即効性はなく、効き目を実感するのに1ヶ月ほどかかるのですが、毎日根気よくさし続けることにより、涙の量が増え、質が安定し、粘膜が傷つきにくくなることが期待できます。
もちろん、それらの薬も、使用をやめれば元に戻ってしまいますので、対症療法であるといえばそれまでなのですが、ヒアルロン酸に比べれば、より原因療法に近いと言えます。
効き始めるまでに時間がかかりますから、毎年冬がおつらい方は、お早めの対策をお勧め致します。


 

<お薬以外にできること>
お薬以外にも、ご家庭で手軽に行えるドライアイ対策に、目のホットパックがあります。
入浴時に、蒸しタオルで5~10分温めても良いですし、また、ドラッグストアでも、電子レンジで加熱する専用グッズが売られています。(温度には十分注意してください)
自然な涙は、3つの層でできていて、一番表側は油の層になっており、蒸発を防いでいます。
睫毛の生え際近くには「マイボーム線」という分泌腺が並んでいて、そこから油が出ているのですが、時々詰まりがちです。そこで、やさしく温めることで、分泌腺の通りを良くし、涙の3層構造を整えることで、蒸発しにくい自然な涙を目指しましょう。